LEDで光るHacker Emblemを胸に

飛石技術は、2014年7月、世界最大のランダム・プール・ネットワークの構築を始め、各位に協力を募っています。しかし、関心を示す個人の方がいろいろな国でいる半面、 「ぜひとも、お金を出したい」という企業の方はいないか、 稀に存在すると大きな勘違いをしているのかな(?)、という現状です。

そこで、自由なコンピューティングの理念を伝えながら、かつ、個人の方に楽しんでもらい、 目的としては資金調達をはかるキャンペーンを行うことにしました。

製品の概要(予定)

5cm x 5cm の基板で、MCUがひとつ、5x5 の LED マトリックスとプッシュスイッチが2つがついています。

キットになってますので、電池ケースを自身で半田付けしてください。

CR2032を電池ボックスに入れるとConwayのLife gameでのGliderが飛ぶデモンストレーションがLEDマトリックスに表示されます。(以下の写真のプロトタイプには、デバッグ用に5pinのヘッダピンが付いていますが製品には付きません。)

FSM-55 Prototype

USERスイッチを押すとデモは "Happy Hacking!" の表示に変更されます。

しばらくデモが続くと自動的に終了します(なにも表示されなくなります)。 RESETスイッチを押すと最初から始まります。

USERスイッチを押しながらRESETスイッチを押すと、"GNU's Not UNIX!"の表示となります。

胸ポケットに付けて、夕食会などで、デモしましょう。

販売方法と価格(予定)

ひとつUSD10からUSD15くらいとなる見込みです(販売価格は製造する量に大きく依存します)。 電池は付属しない予定です。ご自身で用意してください。

中国、深圳にあるSeeed Studioという自由なハードウェア設計を応援する会社のサイト、 Seeed Bazaar から購入できるようになる予定です。

もしかしたら、深圳に行くことがあるかもしれないので、その時に日本にいくつかを持ってくるかもしれません。たくさん購入したいという方は相談ください。

進捗

  • 2014-07-22: 最初の版の PCB を試作を依頼
  • 2014-07-31: 最初の版のエンジニアリングプロトタイプを製作
  • 2014-08-01: リビジョン2の版の PCB の試作を依頼
  • 2014-08-04: デモンストレーションを作成
  • 2014-08-08: Happy Hackingの日を提唱
  • 2014-08-XX: 製造に関して見積りを依頼中
  • 2014-10月くらい? : 販売開始???

ソースコード

git.gniibe.org の fsm-55 が PCB の設計です。自由ソフトウェアのKiCADを使っています。 chopstxのcortex-m0-supportブランチがデモンストレーションのソースコードです。

「自由なコンピューティングの理念」って?

未だ修行中で、うまく筋道立てて説明することができません。拙い表現ですが自分なりに少し書いてみます。

今年(2014年)の夏ですが、こちらの本を読みました: 増田 俊也著、木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか

それで考えるに、大事なことは、研鑽を積み極めたとしても、その持てる力をふるわない、ということにあるのではないか、力をふるわないのだけれども闘う準備を持続する、そういうことではないかと思ったりしています。

具体的なことでは、製品の開発にあたり、できるだけ際限のない再現性を目指しています。 「あー、これいいな!」と自分でも(そのまま、もしくは自分なりに変えたりして)作ってみよう、という方がいたら、できるだけ再現できるように、と念頭において、その邪魔をしないようにしているつもりです。

製品を開発すると、その開発者は一歩二歩前にいることになります。でも、その優位を(弱者に対して)ふるわない。 優位を保つのには、(邪魔するのではなくて)自身が努力と研鑽を続けるしかないのだと思います。

Gniibe Happy Hacking Guideline

2014年、日本語圏では(ダジャレで)「8月8日はHappy Hackingの日」しよう!、と提唱することにしました。数年で定着することを七夕に祈っています。いや、むしろ、それは七夕を凌駕して世界的なイベントに成長することでしょう!?。

上記の「自由なコンピューティングの理念」に関して、自分自身でなんとかする方に関しては、「自由なコンピューティング」は、"Happy Hacking" である、と考えるとわかりやすいと思います。(自由なコンピューティングはこれより広い考え方で、一般のユーザを邪魔しないことも含みます。)

たとえば、下記の例のような障害があったら "Happy Hacking" とは言い難いでしょう。

  • (再現しようと思っても何だか不明の権利が開発者にあって)「不許複製」とか主張している。
  • (再現しようと思っても)製作に必要なツールを入手するには3人(匹?)の弟子を連れてガンダーラに赴く必要があり、帰ってこれるかわからない冒険となる。
  • (再現しようと思っても)一子相伝の製作方法が使われている。このために末弟のあなたは(ほかの3人の兄弟と)壮絶な闘いをする必要がある。
  • (再現しようと思っても)一般には入手できない秘密の部品が使われている。このために、あなたは(以下略)。
  • (再現しようと思っても)部品(や技術情報)の入手にあたりNDAの締結を求められる。
  • (再現しようと思っても)製作に必要なツール(や製作方法)の入手にあたりNDAの締結を求められる。
  • 自由ソフトウェアでファームウェアを実装することができない、あるいは困難。

これらを定式化して、ガイドラインとしてまとめられたら、と考えています。

よくある反論に対する回答

「理念」とかって言うと(書くと)、なにかの刺激を与えてしまって、ともすれば感情的な反論に出会います。 ここでは、よくある反論に対して、拙い表現ですが自分なりに回答します。

誰でもできるわけじゃないじゃないですか!

「誰でも」という表現は、特定の誰かに依存することなく、という意味です。 もちろん、再現するには、道具立てをそろえる必要がありますしコストもかかります、また、それなりの技術が必要となるでしょう。

ただし、PCBの設計と試作は(たとえば10年前と比較すると安価に)簡単にできるようになりました。 かつては、自由なコンピューティングに反する形しか選択肢がありませんでしたが、今では強力なツールが自由ソフトウェアとしてそろっています。 プロトタイプ作成にあたり必要となる表面実装部品の半田付けは、何回か経験を積めば習得できるでしょう。 もし、よいアイデアを思いついたらよい機会ですので挑戦してみましょう。

誰でもできるようにしたら金持ちが勝つに決まってる!

もし、本当にそうだとしたら、この世界は悲しい場所でしょうが、わたくしの知る限り、どうもそうではない模様です。善意にあふれていて資金調達なぞ必要ない、というほどではありませんけれども。

武道を教えている町の道場に、「こっちの方が強いぞ!」とミサイルが撃ち込まれるという話は聞いたことがありません。

もし、そういうお金持ちを見つけたら、「止めなさい」と言いましょう。

そのほかの質問に対する回答

文化的にはTシャツでしょ!

確かにTシャツは慣習として広まってます。 多くの自由ソフトウェアのプロジェクトやカンファレンスでもTシャツを販売したり、 提供することが普通になっています。

しかし、広まっているがゆえに、「違うものがいい」という方もいるのではないでしょうか。こちらには、もらったり買ったりしたたくさんのTシャツがあり、少し困ってます。同じような悩みを持つ方を想像するとTシャツは対象から外れます。

かつて、仲間内で、ある海外のプロジェクトを支援しようと大量にTシャツを購入したことがありました。 そうしたら、物品の輸入ということになって、当時は衣服にかかる関税が大きくて(今はどうなんでしょう?)、だいぶ日本国政府に税金を払う結果になったことを思い出します。

なによりも、こっちは電子工作の楽しみがあります。

電子工作の楽しみとして基板だけ売ってくれませんか?

(2週間とか)ある程度の時間の余裕と若干のお金があれば、興味を持ったこの機会に、ぜひ、ご自身でPCBの(試作)製造を発注することをおすすめします。

わたくしが利用しているのはFusionPCBというサービスですが、10枚の製造でUSD9.9です(2014年現在)。(配送方法の選択いかんでは、送料の方が高くつきます。)

それでも「うーん、敷居が高くて自分では発注できないなぁ」という貴兄には、プロトタイプ製作の際の余りの基板(一部、間違っていて製作にはジャンパー線が必要なもの)でよければ、一枚400円で郵送します。(余ってる間、売り切れごめん、です。内輪の単位ですが1G相当(牛丼一杯分)、です。) 基板以外の部品をそろえて自身で製作するか、基板そのものを楽しんでください。